写真日々

中川繁夫の写真日々。釜ヶ崎、白虎社、京都、の写真を収録しています。

2017年10月

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※掲載写真は1985年のフォトハウスWS風景から、講師は高橋則英氏、です。
<フォトハウスの歴史>-9

PHOTO・HOUSE GALLERY の開設について

 フォトハウスが生み出した作家をフォローしていくための場として、発表を行っていくためのギャラリーの開設が将来必要になってくると考えられます。また、作品制作のための材料を扱い、発表までのプロセスにいたる諸材料を取り揃えておくショップを開店していかなければならないと考えます。

フォトハウスギャラリー
1、ギャラリー部門・・・・作品の展覧会
2、完成作品販売部門・・・・オリジナル、印刷物、イメージ商品等の企画と販売
3、制作材料販売部門・・・・特殊薬品類、特殊機器類、額装のための備品類等の制作と販売
4、印刷斡旋・・・・トータルプランニング請負など

 フォトハウスギャラリーの機能としては、作家と作品を流通に乗せ、商品価値物として需要を喚起し作品を世に送り出すことを目的とします。このためには、制作途上においてさまざまな材料や薬品などが必要になり、また作品収納のための額、ケース、マット、などが必要となりますが、一般には得がたい商品でもあるので、フォトハウスギャラリーの特選品として販売に提供し制作者のための利便を図っていきたいと考えます。



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※掲載写真は1985年のフォトハウスWS風景、講師は山崎信氏、です。
<フォトハウスの歴史>-8-

SIZUHARA ART VILLAGE PHOTO HOUSE WORK SHOP

静原芸術村構想の概要
1、京都市北部の山間部に、現代美術の拠点を構築する。
2、芸術ジャンルとしては、絵画の周辺に位置するところの諸ジャンルとする。
3、具体的には
 (1)写真、版画(各素材)、シルクスクリーンなど複数の再生が可能な芸術諸ジャンルとする。
 (2)写真、映画、ビデオといった映像のジャンルとする。
4、各々に講座を設ける。
5、年に一回程度、各ジャンル融合のシンポジュームを開催する。
6、講座講師には、なるべく多くのメンバーを迎え、各講師の継続した講座を開催する。
7、受講生には基礎から高度な技術が身につくまで研究できるようにする。
8、発表形態については
 (1)展覧会
 (2)出版
9、展覧会については美術館、ギャラリーを使用の他、芸術村での屋外展示やテント張によって開催することも可能である。
10、出版については、雑誌形式のもの、単行本形式のもの、もた個人単独のもの、合同のもの、などが考えられる。
11、制作された作品は、独自のルートで販売される。
12、このようなサイクルを持った芸術村の創出が必要であろう。
                                    以上


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1980年ごろだったか、かって写真行為論なんてタイトルで文章を書いていた記憶があります。写真行為とは、写真を撮って、その写真をどう他者に見せるか、ということを考えていたところでした。その頃って、ネット環境なんてなくて、だからもちろんメールなんてなくて、ソーシャルネットワークSNSなんてなくて、あったのは電話回線を使って草の根BBSでしたか、パソコンから文字を送るということが始まったばかりでした。その当時にはビデオカメラもセットで百万ほどしたからぼくなんかは手に負えるものではありません。写真を見せるといっても、ギャラリーを借りて、写真展を開く、そこへ来てもらう(この方法は現在も行われています花盛り的に)。来てもらうためには知らせなければいけなくて、ハガキなどに印刷して、郵便で送るという方法で告知していたところです。友達に見せ、家族で共有する、ということがありますが、写真愛好者が集まるクラブの例会や、新聞社が主催する写真例会や、カメラ雑誌のコンテスト、これらが発表の場として、確保することでした。それがいま、今、いまはどうなのか。このことを論評してみようと思い立ち、ここにいるところです。

掲載した写真は太陽の塔、たいがいの人はこの造形物が何処にあって何なのかということを、見ればわかるというレベルにいらっしゃると思います。じつはこれ、スマホ、アンドロイドを使っていますが、それを使ってインスタグラム、俗称インスタで撮って、ネットにアップした静止画なのです。ライブ発信です。ライブ発信ということは、撮ったその場で数秒後には、ぼくのサイトにアップされるわけです。ぼくは、見せる行為としての写真行為論を組み立て、ライブで痕跡を残していこうと思っていて、それの実行という行為です。かって、まだビデオ環境がなくて写真をつくるのにもフィルムを使っていた当時、1979年ですが、日替わり写真展という行為を実行してみました。撮った写真を現像処理して翌日に展示するという行為でした。それが今や、スマホからSNSへ、という行為です。

スマホで撮ってインスタにアップします。インスタにアップすると同時に、ブログのアメバ、SNSのツイッター、フェースブックへ、アップします。それぞれにそれぞれの使い勝手があって、使い道があって、SNS系は時間軸に沿って記事が流されていく感じで、すぐさま過去になってしまう感覚です。でも、場所とおおむねの時間が同時に記録されているから、過去から現在への見せ方がライブ感覚でできるわけです。と同時にインスタの写真をブログのアメバに連動させていて、アメバには写真記事として溜まっていきます。これらは、写真表現のレベルで、写真発表の現場であって、発表する形式であって、SNSではイイネをポチで、サロン的要素を共有感覚が持てて、写真展に足を運んでもらうよりはるかにイージーに、友達関係に見てもらうことができる。ブログは、ぼくの場合、公開してるから、だれでも見れるようになっています。
(続く)

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※掲載写真は1985年のフォトハウスWS風景から、講師は島尾伸三氏、です。
<フォトハウスの歴史>-7-

フォトハウス研究所の設定について

 フォトハウス・ワークショップを開講してきたなかで、基礎部分が終わり、研究分野に進んでいくことになり、数人のメンバーによって研究会が開催されることになる。そこで以前からも私の構想の中にあった形態だが、写真学研究所といったものを開設し、ここを写真研究の中軸としていくことが望ましいと考えています。具体的には大隈さんのスタジオを当面の所在地とし、写真の基礎技法をフォローする化学的メカニズムを研究する母体としていくことを目的とします。

<フォトハウス写真学総合研究所>

第一課、化学実験を中心とした分析学術
    1、薬品研究 2、フィルム現像特性研究 3、完全処理プリント研究

第二課、光学、工学理論を中心とした分析学術
    1、写真美学研究 2、写真システム研究 3、カラー写真研究

第三課、歴史、社会構造、思想を中心とした分析学術
    1、写真史学研究 2、写真社会学研究 3、写真教育学研究

第四課、作家及び作品の解析を中心とした学術評論等
    1、内外歴代写真家研究 2、内外歴代写真作品研究 3、現代写真研究

第五課、写真をベースとした表現、写真から派生した表現の学術研究
    1、写真応用美術研究 2、周辺表現ジャンル研究
                                          以上



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※掲載写真は1985年のフォトハウスWS風景から、講師は平木収氏、です。
<フォトハウスの歴史>-6-

定例研究会の開催について

 1986年2月以降、フォトハウス写真研究機構の構築についての具体的なダイアグラム、スケジュール等を討議するための定例研究会を開催する。
 これは研究講座事務局が主催する研究会とは別個に、フォトハウス事務局が主催し、将来のフォトハウスのビジョンとして「写真学総合研究機構」といった構造を構築していくための青写真づくりを行うものです。すでに案については概略ながら作成されています。「フォトハウス研究所の設定について」の課目を具体的な分類と内容について検討します。

 システム化された研究機関・組織又は個人を有機的につなぎ、研究者、研究生らは、それら機関を通じてフォトハウスの提唱する育成の範囲の研究者を育成します。各専門家として必要な研究項目(カリキュラム)を作成し、フォトハウスの傘下のもとに設定し、配置し、学ばせます。

 つまり学舎を持たない大学以上のレベルを持った研究機構を構築する。これまでの研究機関というのは、大学であれ研究所であれ、おおむね閉鎖された機構として存在している。フォトハウスが考えるところの機構は、それら大学や研究所を含め、なお不足部分について所定の条件で設立し、総合的に、研究の場をオープンさせて行こうとするものです。日本のあらゆる期間を有機的につなぎ、連携を持ったなかで人材を育成していこうとするものです。


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 静止画によるイメージ制作で、なにを為そうとしているのか。いつも、たいがい、写真という字面を見て、読んで、思うことが多い、自分への質問状です。考えるというか思うというか。考えるということは、論を組み立てていく作業だと思うけど、論を組み立てるなんてことができないから、思う、というレベルだと感じています。俗に写真といっているモノを、最近のことでいうと、静止画といういいかたの方があっているのではないか、と思えます。静止画に対して動画というモノが置けるからです。技術的に写真が出現する以前は、絵画、版画という平面の静止した絵でした。絵画、写真、映像、という歴史的時間の流れのなかで、現れてきた表現手段です。

 静止画である写真というモノを軸に考えてみると、ここから四方八方、いやはやビッグバーンで宇宙が拡大していくがごとく、様々な方向に論がひろがっていくではありませんか。その中心に立って、見まわしてみて、そこから見える星屑のごとく、一点一点に論を与えていくことにしないといけない、と考えるわけです。つまり、全体像をイメージ化して言語にしていく、あるいはイメージ画像にしていく、このことが重要なことではないかと思えます。道具としてのカメラが、今や、いとも簡単に静止画=写真を作り出してくれるから、絵画に比べて、動画=映像にくらべて、イージーに簡単、遊びの道具としてもてはやされる時代です。

 「写真について思う」シリーズは、およそ二年半ぶりの再開になります。前の最後のイメージが内灘の弾薬庫痕の風景だったので、その続きとして、同じ時に撮った別角度の写真を載せました。撮影は1975年ごろの夏です。内灘とは石川県の海金沢から近い砂丘の海岸にある地名です。今は渚ドライブウエーの起点になっています。で、1980年ごろには、この弾薬庫痕が無くなっていて、当然、現在においては見ることができません。戦争が終わって占領がとかれた当時、ここに米軍の試射場が設置されて、その弾薬庫として使われたコンクリートの塊の残骸が写ったのが、この写真です。ぼくの手元にこのネガがあり、デジタルデーターになって、いま、ここに、お見せできるのですが。一枚の写真から、その背景の話にすすめていくと、これは歴史の証しとなりますね。

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※掲載写真は1985年のフォトハウスWS風景から、です。
<フォトハウスの歴史>-5-

フォトハウスが開催する講座:フォトハウスワークショップの講座について

技術修得講座
 ・ゾーンシステム(基本技術)
 ・シルバープリント、ブループリント、ガムプリント(ゴム印画法)
 ・古典的印画法各種
 ・シルクスクリーン、リトグラフ(石版画、銅版画)
 ・プリントのあーカイバル処理、各種調色
 ・ポートフォリオ、オリジナルプリント保存法
 ・造本、オリジナル写真集
 ・出版、出版ノウハウ
 ・ポラロイド写真の応用
 ・コピー機材の応用によるプリント制作
 ・カラープリント

技能修得講座
 ・写真史(歴史、社会構造、思想など各種細分化)
 ・美術史(歴史、社会構造、思想など各種細分化)
 ・現代美術(写真、美術などの現代思潮)

研究コース
 ・ワークショップ受講済のメンバーによる各研究講座
 (より専門知識を修得し、栄作・研究される成果が一級の商品としての価値が付加されるまでを目途とする)

セミナー
 ・専門分野の専門知識を持って専門レベルで講義
 (フォトハウスWS受講者以外の受講希望者も受け入れる)


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※掲載写真は1985年のフォトハウスWS風景から、です。
<フォトハウスの歴史>-4-

(1)研究に関する拠点
 ・フォトハウスワークショップ等の講座開講。
 ※講座内容は複製技術の芸術制作とその周辺
 ・フォトハウスシンポジュームの開催
 ※年一回程度、企画展などと併設
 ※時期に即して各ジャンル総合のシンポジュームを開催
 ・フォトハウス企画展等の開催
 ※時期に即した企画展を開催
 ※講座生の発表、個展、合同展
:各年のそれぞれの企画原案はフォトハウス運営委員によって提起される。
:各年のそれぞれの企画はフォトハウス事務局によって立案される。
:各年のそれぞれの企画はフォトハウス研究講座事務局によって実施される。

(2)研究成果発表に関する拠点
 ・写真批評誌等の定期刊行
 ・写真集の単行本の刊行
:各年のそれぞれの企画原案は運営委員によって提起され、事務局によって立案され、フォトハウス出版局によって発行される。

(3)研究成果流通に関する拠点
 ・フォトハウスギャラリーの開設
 ※ギャラリー部門
 ※完成作品販売部門
 ※機材、制作材料等、販売斡旋部門
 ※印刷斡旋、トータルプランニング請負など営業部門
 ※フォトハウス・データベース部門
:それぞれの企画原案は運営委員によって提起され、事務局によって立案され、フォトハウス業務企画局によって運営される。

 以上のような三拠点を各々に構築し、独自の方法で、時代に即した展開を成すことによって、総合的な芸術活動の推進母体と成っていくことを展望します。
 また、これらをより有機的に結合させたシステムとして、「フォトハウス写真研究機構」を創出していかなければなりません。
 ※フォトハウスの将来的展望(2)を参照


 
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<フォトハウスの歴史>-3-
1986年1月に制作した「フォトハウス86年以降の展望」という文書があるので書き写したいと思います。
※フォトハウスの将来的展望(1)
1、拠点の構築について
 フォトハウスは構築物としての拠点(たとえば学校、研究所といったその場所で完結する関係の建築)は持たないことを、当面の戦略としていますが、最小限の「場」は必要です。すでにフォトハウスワークショップの「開講場所」として京都市北部の静原に「京都静原教場」を設定しており、具体的に講座を開講しているところです。
 こういった拠点を構築し、それぞれが有機的に結合したなかで新しい芸術(写真)活動の波を起こしていこうとしているところです。
 都市の中にあって開かれた構造を持つ、あたかもアメーバーのように自由に変形しうる総合的な研究うから、商品流通までトータルシステムとして、各々のポジションを構築していかなければならないと考えます。
 フォトハウスが包括する形態は大きく分類して三方向に発展していきます。将来、その各々について拠点が必要になります。もちろんここでいう拠点とは、一か所をのみ限定する具体的なスペースを持った「場」ということではなく、概念上の拠点として解釈してください。こうした概念上の拠点が明確にされることによって、具体的なスペースを持った「場」が設営され、それも複数が可能となると思われます。複数の「場」がそれぞれに独立し、独自の展開を発展的に行っていける。そのような構造を模索しています。ですから地方・地域戦略としての複数で、本社ー支社といった関係ではありません、念のため。

(1)研究に関する拠点
(2)研究成果発表に関する拠点
(3)研究成果流通に関する拠点

 フォトハウスでは、このような方向を持った三拠点を理念的に構想しています。また、これらに具体的な形態(システム)を持たせ、各々の拠点に経営的にも完結する構築を整備する中で、作家の自立による現代芸術(写真)のより発展的な展開とその周辺の整備を行っていきます。
(続く)

※掲載写真は1985年のフォトハウスWS風景から、です。




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